ブログや文字を書くのは突発的なイライラや長引くもやもやを言語化するひとつのストレス解消法だという認識があった。
一方でこの投稿のない空白期間には、ひとは本当に底まで自己肯定感を失うと書く文字すら思い浮かばず、もはや文字に感情を表すことすらこんな自分にはおこがましいと指を止めるのだということに、気づいた。
おひさしぶりです。生きては、いました。
最後の投稿が6月のようだ。よりによってというか、進歩がないというか、最後に書き残した記事タイトルその名も「ダメな日」。そして、今日のわたしも、ダメな日を過ごしているのである。
もとより年齢の呪縛が他人より強く強迫観念化している自覚は大いにあったが、夏頃より向き合っている1つの仕事の案件によってわたしはこの「製造経過年数約30年モノの、何者でもない空っぽの入れ物」という無駄に年期だけ入った虚無の器としての自分に心から絶望しているのだった。
難易度の高い案件だ。
子供みたいな稚拙な言い訳から入るなら「やりたくてアサインしてもらったわけじゃない」。
傍から「わぁあそこにめんどくさい案件あるわ」と部外者を決め込んでいたところに、まさかの追加アサインで私の名があがり、今に至る。
そこからは地獄の日々が続いている。
モンスターは3種。
ここでいうモンスターは彼らに過失があるのではなく、わたしにとって立ち向かうべき対象であるというだけだ。アンパンマンだって、あんなにいいやつで人気者なのにばいきんまんにとってはモンスターの1人だろう。わたしはばいきんまんなのだ。モンスターたちが眩しくてしょうがないだけなのだ。
わたしの年齢を気にしてか、この案件をわたしが推進しているように上に見せたい心優しきリーダー。だがこのリーダーの「イヌ美がもっと推進しているようにこういうメールを送ったほうが印象いいよ」「あのMTG仕切らせてくださいって手挙げてみたら?」といったアドバイスはどんどんわたしを闇に突き落とした。悪意が無いだけに、このアドバイスを苦痛に思う自分の精神状態のほうが異常だと、また自分を卑下するきっかけになった。案件が進行しさえすれば、そんな”パフォーマンス”みたいな仕事はしたくないし、MTGの進行だってその領域に知見のある彼のままにしておいたほうがどう考えたってスムーズじゃないか。でも、メールを送れない自分は、手を挙げられない自分は、どんなに仕事で”ミス”を犯していなくても、そのたびに減点されていくようなそんな気がした。
優秀な年下もモンスターだ。
彼らの存在は案件の中でわたしをただのボランチと化すことに成功し、アイデンティティを奪ってくれた。優秀ってすごい。優秀ってこわい。ただでさえ数字の呪いにかかっているわたしには自分より数年この地球で暮らした経験が少ないはずの彼らのうちに透けて見える自頭の良さや経験豊富さに眩暈を受ける。わたしが寝て過ごしたあの時間もこの時間も有意義に使った側の人間。彼らの荷物となっている気がしてならなかったし、荷物どころか存在すら認識されていないのではないかとさえ思い、透明人間になった。
最後のモンスターは偉い人だ。
偉い人がわたしをアサインしたけど偉い人は仕事ができる人が好きだ。わたしはここで正式に透明人間になった。
モンスター同士がわたしの頭上でテクニカルな話をする。わたしはついていけない。どうかわたしを案件から外してくれと願う。殺してくれ、楽にしてくれと願う。
誰からも「お前は使えない」と言ってもらえないままとろとろと弱火で煮られて確実に溶解している状態。叱ってももらえないアラサーになってしまった。静かに落胆され扱いに困られるアラサーになってしまった。くるしい。消えたい。
今日も夢を見る。
この案件が終わったら1か月くらい会社休んで逃避行したい、なんて。1か月分も有休なんて余ってない。
海に行きたい、知らない土地を巡りたい、サンドイッチでも持って原っぱに寝転がって過ごすんだ。(でもそこには虫もいるし汚れもするよ、理想に過ぎないんだよ)
何者にもなれなかった空っぽの築30年の女体が、がらがらがらがらと不吉な音を立てて鉄サビを広げながら今日も街を歩く。
「私が、通ります」
道を、開けてください。