12.好きな店

なんともない店(失礼)だが、好きな店がある。
なんともないチェーン店(失礼)だが、とても好き。

 

その名をMKレストランと言う。
我が故郷に一号店が出来たのは何年前だったろうか。10年以上前だろうか。

 

簡単に言えばしゃぶしゃぶの具材オーダー制食べ放題。
凝った味付けが苦手な母と私は、チゲ味やら豆乳やらとベースのスープが選べる中で、決まってオリジナルスープ(いわゆるただの昆布出汁)しか頼まなかった。
最近、帰省時に寄ってみると2種・スープを選べるようになっていた。

 

そこからは、母は辛味のつけダレ、私はポン酢つけダレを使って黙々と時間いっぱいまで食べ続けるのだった。

 

薬味のネギもオーダー制で、私は無類のネギ好きなので平気で一度に「10人前」などとタッチパネルで入力すれば、中皿いっぱいに盛られた青ネギがやってきて至福のとき。私はこの店の鶏ミンチの味付けと、オリジナルのポン酢の味が妙に気に入っているので、肉もそこそこにひたすらミンチを湯がき、ゴクゴクポン酢で食べる。ネギを大盛りで。

(当時)1000円ちょっとで味わえた、ささやかな幸せのときだった。

 

最後は「雑炊セット」を頼む。
スープをお玉でアク取り容器にうつして減らし、茶碗一杯分の白米を使って、母と私で分けて食べる。これもまた、オリジナルスープが家の味ではないので、普段家で食べるシメの雑炊と一味違うまろやかさがあって、好きだった。どんなにお腹いっぱいでも、シメだけは外せなかった。

 

「バミー麺」という、少なくとも私はこのMKで当時はじめて知った麺があった。
ちぢれ麺だ。
これまた美味しくて、コレを茹でると麺のまわりの小麦粉(?)が溶けてスープにとろみが出てしまうので、雑炊ができなくなる代償にはなるが、たまにこのバミー麺で〆るのも、好きだった。固茹で命。

 

ちなみに、MKにはしゃぶしゃぶ食べ放題だけではなく、飲茶食べ放題セットもあった。(しゃぶしゃぶ食べ放題にプラス料金でつけることができた)
なにか私を褒めてくれるようなことがあったときには、母は「今日は飲茶もつけていいよ」と言い、ささやかなアップグレードがはかられたものだ。どうやら今はお寿司の食べ放題もつけれるらしい。

 

たいてい外食は母と2人で行くのだが、私はMKで”外食なのに1つものを一緒に食べる”ような時間が好きだったのかもしれない。
「焼き肉」は結局のところ、1つの網を共につつく面では似ているが、その網の上ではわりと個人プレーのような気がする。

でも一方、鍋はどばっと一気にいれた具材を、互いの領土関係なくつつきあえるし、母が雑炊をシメにつくるように、外食なのにどこか一瞬、母の手料理・母の存在を感じる時間があって、それも好きだ。

 

今でも帰省時には思わず「MK行こう」と言ってしまう。
私が上京している月日を経て、システムや料金がやや変わっているようだが、鶏ミンチとポン酢の味が変わらず、薬味も追加オーダーできる点に変更がなければ、私は毎年 12月の後半にこれからもこのレストランを訪れるのだろう。母の作った〆雑炊で満腹になるために。

 

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