最近、お気に入りの本がある。すでにさくっと読み終わったのだが”読んでいる最中”の心の健やかさは近年稀に見るものだった気がする。
アイキャッチのとおり、それはお笑いコンビ オードリー若林さんのエッセイ文庫本だ。
そもそも、私は書籍を読むのが苦手だ。
しかしその中でも、この「エッセイ」というジャンルだけはかなり好きで、テレビや雑誌で、好きな受け答えをする著名人がいればその人が出版したエッセイはないだろうかと検索してみたりする。
もっとも苦手意識が強いのが「小説」だ。
私は幼い頃からよく絵を描き、そして絵本をよく読んだ。次第に絵本から単行本書籍に年齢と共に移行していくのだが「わかったさんシリーズ」などのような、挿絵の多いものが主だった。そしてよく、とてもよく、漫画を読んだ。
つまり私は、登場人物の”顔”がわからないと内容に入り込めないのだ。よく聞く著名な作家の小説に何度と挑戦してみたが、あたりまえに挿絵は無く、永遠に脳内でのっぺらぼうが物語を紡いでいくのがとても苦手だった。その自由な想像の余地こそが、私を苦しめる。
その点、いわゆる「二次創作」にあたる小説はよく読む。腐女子という理由もあるが、原作(漫画)ですでに登場人物の顔や性格をハッキリ想像出来るうえで読む活字はまったく苦じゃなかった。
話は逸れたが、つまりエッセイというのは登場人物や主観の目がその著者本人なので、とても読みやすい。”テレビで見るあのひと”である限り私の中でのっぺらぼうはいなくなる。
若林さんのことは以前からテレビで見かけていたが、最も共感できたのは「人見知り芸人」だろう。
その番組を見て「あ~~~わかるーーー!」と思って以来、勝手に”同族”視点で見るようになった。一方で、なぜか彼のエッセイを読む機会がなくてようやく、発売から3年越しに手にとってみた。
エッセイで「共感」といった意味で、読んでる最中に充足感を感じることは過去に経験があれど、思わず「プッ」と吹き出してしまう経験はほぼなかった。このエッセイでは私は毎回”オチ”の一文が楽しみで、かなりの確率で斜め上の一文が置いてあり、吹き出してしまう。
お笑い芸人さんってすごいなあ、というのがまずの感想だ。
簡素な文章なのに、しっかり笑える。笑わせようとする勢いやグイグイ感はないのに、ひとつ土産を置いて去っていくような感じ。
読書が好きなことも知っていたので、やはり彼の文章力や言葉選びには、知識や感性が透けて見られたし、私もこんな散文を長々書くのではなく見習わなければならないな、と思った。
綺麗なオチは、つけられない。